リード
ハーバート・リードの『インダストリアル・デザイン』を通勤電車の行き帰りで読んだ。昭和32年に初版翻訳(みすず書房)されたこの本をネットの中古で購入した。もとはと言えば海野弘の『装飾空間論』に紹介されていたものである。この中でリードは装飾を空白への恐れという人間の本能に位置づけている。もちろんその由来はヴォリンガーである。そしてこの空白恐怖以上に装飾の起源への思考を進めず、モダンデザイン(装飾否定)称揚へ理論展開している。1953年という時代を考えればいたし方無いのかもしれない。
装飾否定時代?の現代においてネットの中古には装飾の面白い本がいろいろ転がっている。昭和29年繊維意匠創作協会編出版の『世界模様図鑑』という本では古代からの世界各地の模様の相関図が載っている。これはなかなか傑作である。これに拠れば、世界の模様は全て相関線で繋がっているのだが、唯一繋がっていない地域がある。本当か嘘か分からないが、それは南米(インカとマヤ)である。