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二つのモダン

昨日記した稲葉振一郎さんの『モダンのクールダウン』に紹介されていたカリネスクの『モダンの五つの顔』を読んでみた。
「二つの鋭く対立しあうまったく別個のモダンの存在・・・・科学的進歩主義、産業革命、資本主義によってもたらされた圧倒的な経済的社会的変化の産物と美的概念としてのモダン・・・・の関係は敵対的なものとなった」と記され、その前者とは市民革命によるブルジョア文化であり後者はそれに敵対する反ブルジョアを標榜するアヴァンギャルドなのである。建築の場合まさにこの遅れてやってくるモダニズムがコルビュジエでありブルジョア文化を体現したのがルドゥー以降の建築家となる。カウフマンの『ルドゥーからコルビュジエ』がその二つのモダンを架橋していることになる。そう考えるとカウフマンはそこに決定的な溝を描いてはいない。むしろカントに棹差し、自律的な建築への歴史が記されていたように記憶する。昨日の日記にその差はどれほどか?と疑問を呈したが、その謎はそう簡単に明かされるものでもなさそうである。

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