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建築のモノサシ

信州大学工学部社会開発工学科:学部2年 2006年冬

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第1講 重箱と平皿 - flatness

《参考文献》

[A]…講義の理解を深めるために是非一読を(入手も容易)。
[B]…講義の内容を発展的に拡張して理解したい人向け。
[C]…やや専門的だが、面白い本。
[D]…やや専門的かつ入手困難だが、それだけに興味のある方は是非。

  1. オットー・ワーグナー(Otto Wagner)、1997(1895) 『近代建築』(樋口清訳)、中央公論美術出版 [C]
    ● モダニズム期ウィーンにおける新旧衝突の中でワグナーの改革精神が伝わってくる。

  2. 八束はじめ、2001 『ミースという神話』、彰国社 [A]
    ● コルビュジェに続く八束氏のモダニズム建築家モノグラフ。斬新な読み取りはコルビュジェ論に変わらず興味深い。

  3. 八束はじめ、1983 『ル・コルビュジェ』、岩波書店 [B]
    ● モダニスト建築家の両義性を暴いたポレミックなモノグラフ。

  4. 山本学治/稲葉武司、1970 『巨匠ミースの遺産』、彰国社 [B]
    ● 日本人による初期ミース論の秀作。

  5. 原広司、1976 『空間<機能から様相へ>』、岩波書店 [B]
    ● 日本人によるまともなモダニズム批判。

  6. 原広司、1967 『建築に何が可能か』、学芸書林 [C]
    ● 有孔体理論確立の書。

  7. エドワード・R・デ・ザーコ(Edward Robert De Zurko)、1972(1957)『機能主義理論の系譜』(山本学治、稲葉武司訳)、鹿島出版会 [C]
    ● 20世紀の産物と思われている機能主義の系譜をヴィトルヴィウスに遡り解説する。

  8. ヴォリンゲル(Wilhelm Worringer)、1953(1908)『抽象と感情移入』(草薙正夫訳)、岩波文庫 [B]
    ● 建築の創造を理解していく上ではとても重要な抽象概念についての解説。

  9. テオ・ファン・ドゥースブルフ(Theo van Doesburg)、1993(1925)『新しい造形芸術の基礎概念 バウハウス叢書6 』 (宮島久雄訳)、中央公論美術出版 [D]
    ● バウハウス叢書はすべて当時のモダニズムの息吹が伝わる興味深い書。なかでもドゥースブルフはもっともラディカルなモダニストであり、その理論は力強い。

  10. ヴァシリー・カンディンスキー(Wassily Kandinsky)、1995(1928) 『点と線から面へ バウハウス叢書9 』(宮島久雄 訳)、中央公論美術出版 [D]
    ● カンディンスキーは画家であると同時に緻密な理論家でもあったことがよく分かる。

  11. チャールズ・ジェンクス(Charles Jencks)、1978(1978)「ポストモダニズムの建築言語」 『a+u』 1978年10月臨時増刊号、エーアンドユー [B]
    ● ポストモダニズムという言葉を定着させた、記念すべき書。

  12. Rem Koolhaas, 1991 "S, M, L, XL", 010Publishers [B]
    ● モダニズム建築の量の表現力(非表現力)を扱った最初(で最後)の書。

  13. TN プローブ編、2002『都市の変異』、NTT出版 [C]
    ● 都市が建築の対象としてだけでなく、芸術の対象ともなっているその融解した状況説明。

  14. レム・コールハース編集、1995 『レム・コールハースのジェネリック・シティ』、TNプローブ [D]
    ● ゴシップ週刊誌のような装丁のこの展覧会カタログが普通の始まりだった。

  15. 坂本一成、2001『坂本一成 住宅 ―日常性の詩学』、TOTO出版 [B]
    ● 建築界で最も緻密な論理を組み立てる坂本の最新の作品と言説(日常性とコールハースのジェネリックはどこかで結ばれる)。

  16. ハインリッヒ・ヴェルフリン(Heinrich Wolfflin)、1961 (1915)『美術史の基礎概念』(守屋謙二訳)、岩波書店 [B]
    ● クラシック(=モダン)を平らだと最初に言ったのはヴェルフリンだった。

  17. 東浩紀/大澤真幸、2003 『自由を考える』、 日本放送出版協会 [A]
    ● 匿名性の自由を考える書。

  18. エルヴィン・パノフスキー(Erwin Panofsky)、2002(1962)『<象徴形式>としての遠近法』(木田元監訳)、哲学書房 [B]
    ● 透視図が時代の精神性を表出する感性記号であると看破。