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2010年05月08日

猪熊弦一郎展

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オペラシティのアートギャラリ―で猪熊弦一郎展が行われている。三越の包装紙の人くらいしか知らず観たのだが、いやはや予想以上に素敵な絵だった。よくよく見れば三越の包装紙もかなりポップなデザインなのだが彼の絵もある時期から大きくポップに変化していく。1902年生まれの芸大生だからその時代の芸大色に染まった絵を描いていたわけだが、パリに数年、ニューヨークで20年、そしてハワイでに移り住み。色も線も変化していく。無駄の無い瞬間芸のような線の中に選び抜かれた綺麗な色が散りばめられている。伴侶が他界した後は集中的に顔を描くのだがこの顔がまたいい。大きなキャンパスに数十個の顔。瞬間的な線(書の線のような)の集まりだがどの線にも無駄が無い。そしてどの顔にも表情がある。動物シリーズも見事である。田中一光のアートディレクションで糸井重里のコピー猪熊が絵を描いた西武のポスターは見た記憶があったが、言葉が絵に乗り移ったような一体感である。久しぶりに日本人の画家の気持ち良い絵を見る機会だった。

2010年05月01日

「建築はどこにあるの」+「六本木クロッシング2010展」

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国立近代美術館で「建築はどこにあるの」展をやっている。伊東豊雄、鈴木了二、内藤廣、アトリエワン、菊池宏、中山英之、中村竜治の7人のインスタレーションが展示されている。閉館まで10分だったので駆け抜けた。中村竜治の針金細工の精度には恐れ入った。こういうのは芸大生じゃないとできないな。でも芸大生だと思うと、出来て普通?伊東さんのは分かっちゃいるけれど魅せる。モルフェだけ。でもそこがいい。内藤さんのはアートとしては面白かった。大分遊んだ。でも内藤さんがやることでもないだろう。アトリエワンの作品は巨大キッチュ。先日彼らの本を読んでついに文化人類学者になったと思ったが、これはその調査の際に土産物屋で売っていた竹細工を10倍に拡大したものだ。建築でもアートでもないものを作ろうという姿勢はすごく共感するが、、、
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皇居の周りを時計の針と逆回転して六本木森美術館へ。ここでは六本木クロッシング2010展が行われている。ゲストキュレーター二人と近藤健一森美術館キュレーターによる企画を読んでいると思い出すものがあった。思想地図の佐藤俊樹の言葉:売れるサブカルと最先端のサブカルは異なる。同様に売れる社会学と最先端の社会学も異なる。である。というのも本企画は市場価値で見えにくくなったアート本来の価値を問おうというもの。つまりとんでもなく高値のつく日本のアートが最先端のアートではないだろう?と言う批判が読みとれる。下手すると建築においてもそうなのかもしれないが、経済バブルの後に訪れた、文化バブルへの一つの反省がアート、哲学、社会学などに垣間見える。ただ今回の人選や内容がキュレーターの意図を十分に伝えられているのかと言うと疑問も残る。少なくとも僕にはよく分からない。まあキュレーターのコンセプトはどうあれ、今日見た中では照屋勇賢の作品が気に入った。色々な市販の袋の一面を丁寧に切り紙細工するもの。身近であって、技を感じ、楽しい。