猪熊弦一郎展
オペラシティのアートギャラリ―で猪熊弦一郎展が行われている。三越の包装紙の人くらいしか知らず観たのだが、いやはや予想以上に素敵な絵だった。よくよく見れば三越の包装紙もかなりポップなデザインなのだが彼の絵もある時期から大きくポップに変化していく。1902年生まれの芸大生だからその時代の芸大色に染まった絵を描いていたわけだが、パリに数年、ニューヨークで20年、そしてハワイでに移り住み。色も線も変化していく。無駄の無い瞬間芸のような線の中に選び抜かれた綺麗な色が散りばめられている。伴侶が他界した後は集中的に顔を描くのだがこの顔がまたいい。大きなキャンパスに数十個の顔。瞬間的な線(書の線のような)の集まりだがどの線にも無駄が無い。そしてどの顔にも表情がある。動物シリーズも見事である。田中一光のアートディレクションで糸井重里のコピー猪熊が絵を描いた西武のポスターは見た記憶があったが、言葉が絵に乗り移ったような一体感である。久しぶりに日本人の画家の気持ち良い絵を見る機会だった。