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2009年10月25日

ベルギー幻想美術館

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米田明さんのオープンハウスに自転車で行った帰りに寄ったbunkamuraで「ベルギー幻想美術館」展というのをやっていた。ふらりと立ち寄ると結構面白い。19世紀の末アフリカの植民地からの収益で富を蓄えたベルギーは芸術への投資も盛んになり芸術家が多く育つ。しかし社会は産業化とは裏腹に、資本主義の負の暗い影を落とし、そうした世相を反映した芸術として象徴主義芸術が盛んとなる。象徴主義は実体としての物を通して観念を表わそうとするもの。と言われているがどうも今一つ僕にはピンとこない。実際象徴主義と呼ばれる暗い絵の大群は確かに何か別の心の風景を表わしているのだろうが、気分まで暗くなり、見ているのがちょっとつらい。その中ではジェームズ・アンソールの絵は色が明るくて気持ちいい。気持ちいいのだからきっと象徴主義に分類されるものではないのだろう。Wikiを見ても表現主義やシュルレアリスムに影響を与えたとは書いてあれど、象徴主義とは書いてない。
象徴主義以外には二人のシュルレアリスム作家が展示されている。ルネ・マグリットとポール・デルヴォーである。マグリットは昔からあまりに見え見えなところが好きではないのだが、デルヴォーは実にいい。これだけ女性のヌードがオンパレードな作家も珍しいのではなかろうか?なんだかエロティックでもないし、美しくもないし、ただ滑稽である。このやたらに大きい目が最近のアイドルのようでもあって思わず笑う。

2009年10月17日

古代ローマ帝国の遺産

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西洋美術館で古代ローマ帝国の遺産展が開かれている。展覧会は3部構成で帝国の誕生、アウグステゥスによる国づくり、そしてポンペイと分れている。最近政治の本を読むことが多いせいか、アウグステゥスの統治は興味深い。しかし圧巻はポンペイ。特にcgで再現した邸宅と街の映像は見ごたえがある。とある邸宅のリビングには庭園の壁画が飾られ、窓の外にはリアルな庭園がありその向こうには地中海が広がる。家具はディベッドのようなもの。その隣室は酒を楽しむラウンジのような場所だが、イスはない。ディベッドのような柔らかな曲線の床があり、柔らかな布が敷かれ、間に酒や食事を置く低いテーブルが置かれる。寝そべって庭園と海を見ながら二人で語らうように作られている。日本の生活は座式、西欧は椅子式と言われるが、ローマは(ギリシアも)寝式もあったと言えそうだ。しかし長時間寝そべると疲れそうだし、寝そべりながらものを食べるのは消化にいいのだろうか?