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9月14日から31日までアルゼンチン,ブエノスアイレスの建築・デザイン美術館(Museo de
Arquitectura y Dise?o de la Sociedad Central de
Arquitectos)で日本建築展が行われた.展覧会のタイトルは「antipodas」.博物館の館長ビスマンはこのタイトルをアレクサンドロ・バリッコのベストセラー小説『絹』(白水社)に描かれる日本(世界の反対側:
antipodeの神秘的な国)とだぶらせたと言う.タイトルのオリエンタリズム臭さとは裏腹に,建築展の内容は比較的正確に日本の建築を跡付けていた.展覧会は大きく三部構成.第一部は日本のモダニズム建築の伝統と題して,丹下,菊竹,黒川,槇,安藤,伊東,妹島など全部で18作品がそれぞれ3つの異なる縮尺の模型(アーバンデザイン,外形,断面詳細)で表現されていた.第二部は地球の裏側に住むと題して,青木,安藤,千葉,アトリエワンなど全部で20くらいの模型と図面が展示されていた.第三部は日本の建築家観察と題して,
隈, 北山,
FOB,セルスペース,OFDAなど全部で50ほどの作品写真,図面がアンビエントミュージックにのって巨大スクリーンに投影されていた.展覧会のオープニングカクテルパーティーは9月14日,アルゼンチンのデル=ポトロがUSオープン優勝で湧く中行われた.レンガビルをリノベーションした素敵なミュセオも100名を超すブエノスアイレスの建築家たちで熱気を帯びていた.地球の逆側から向けられた日本への眼差しは巨匠の羅列に終わることなく現代の文脈へ切り込む幅を持っていた。しかし一方で、ネット上に散在する日本の情報をジグソーパズルの如く組み上げていく彼らの日本理解には限界も感じられた。
(坂牛卓)
http://www.socearq.org/index.php/marq/antipodas-arquitectura-japonesa-desde-miradas-argentinas.html
新建築2009年11月号 |
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