« October 2016 | メイン | December 2016 »

November 30, 2016

EU vs JAPAN Blue Architecture (Beyond sustainability)International Conference

IMG_3976%E3%82%BB%E3%83%AB%E3%83%90%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%B9.jpg
久しぶりにセルバンテスインスティテュートの館長アントニオに呼ばれた。彼とは最近なぜかバルセロナから電話で話すことが多かった。彼は昨年からEU各国の文化会館の館長が集まる会議の議長だそうでEU文化大使である。そこでEU vs JAPAN建築会議を開きたく理科大の力を借りたいということだった。その会議を理科大でできるかという話題になったが理科大(神楽)にはその手の会議をやる広い場所がない。小さいホールはあるが国際会議に必要な通訳ブースがない。残念ながらセルバンテスの地下ホールの設備が圧倒的にいい。場所はセルバンテス。
EUからはイギリス、ドイツ、オーストリア、チェコ、スペインの建築家を呼ぶことがすでに決まっている(人選はこれから)。そこでテーマを何にするかで少々議論。「サスティナビリティ」か「テクノロジー」という。まあ代わり映えしないテーマだこと。そしたら誰かがグリーンアーキテクチャーはどうだというのでそれもつまらない。だったらブルーにしようと僕が提案。それ何?と聞くのでグリーンの向こう側。これはしかし僕のアイデアではなくエルンストたちがウィーンで使っていた言葉使いである。でも面白いのでお借りした。そこで決まった. 来年1月20日にEU大使館で本会議して決まればこれで行く。行うのは6月半ばくらいかな?乞うご期待。

November 29, 2016

国際会議申請書作り

来年度終わりころに国際会議を企画した。建築理論のマジな会議をしてみたいと思ったのは東南大学の建築理論国際シンポジウムに呼ばれてからである。こういうこと日本でもきちんとしないといけなと思い始めたのである。東南ではアメリカ、イギリス、オーストラリア、インド、日本そして中国国内から全部で20人程度を集めて3日間行った。それは今書籍化されている。これと同等とまでいかなくてもそれに近い規模のことをきちんとテーマを決めて行い、その成果は書籍化したいと思っている。
というわけで今日その最終申請書を作り(資料を入れると厚さ10センチくらい)のものである。充実した申請書で受理するJFの担当者も驚いていた。しかしそうは言っても若干の書類の不備があり急遽差替え資料を作成中である。

November 28, 2016

カーンと自然

IMG_0644.JPG
言葉と建築の講義で今日は「自然」である。古来自然は芸術の源泉であっただが、ゼンパーあたりから変わって来る。そしてカーンはこう言う。「人が作れるものは自然には作れない」そう言う目で去年見てきたカーンを振り返るとこの幾何学性に納得する。モダニストの美学的バックボーンにヴォリンガーの『抽象と感情移入』が挙げられるが、カーンは真に抽象の建築家だろう。しかし自然とコントラストを作ることで自然を引き立てているようには見えるのだが。

November 27, 2016

アメリカの始まり

FullSizeRender-62america.jpg
トランプがなぜ勝ったかを知るには南北戦争を知らねばと思ったがその前に独立戦争だろうと思い読んでみた。まあなるほどこのころからアメリカは一枚岩ではないわけだ。
ゴードン・S. ウッド 中野勝郎訳『アメリカ独立革命』岩波書店2016

立って仕事

IMG_396%E6%9B%B8%E6%96%8E.jpg
立って仕事をすると捗る、立って本を読むと眠くならない。という話を実践してみることにした。昔デザインした小さな丸い机を書斎に置いてみる。そして立ちながら本を読んだりこの上にパソコン置いて仕事をしてみる。うん確かに効率あがる(気がする)。

November 26, 2016

都留市の住まい方研究

FullSizeRender-61%E3%81%A4%E3%82%8B%E3%81%AE%E5%AE%B6.jpg
都留市の生活スタイルと住宅建築のあり方研究の第一回目成果を富士吉田市で発表した。発表場所はリトルロボットという地元のカフェ。地元の建築を学ぶ高校生とその先生二人、地元不動産屋さん、こちらにアンテナオフィスを計画しているIT企業の社長さん達、街つくり協力隊、貯金箱財団の人たちなど。全部で5つの案を披露。
1)若夫婦の家
2)引退後の老夫婦の家(2拠点居住の試み)
3)二世帯住宅
4)お店のある家
5)身障者を子供に持つ家

そしてこれを最後に人気投票してその理由を皆に聞いてみた。シンプルで柔らかな家が人気ということが分かったが、それぞれの良さを皆がよく理解してくれた実りのあるプレゼンであった。

November 25, 2016

金箱さんおめでとうございます

image.jpeg
金箱さんの学会賞受賞記念パーティーが国際文化会館で行われた。女性3人(木下さん、加茂さん、貝島さん) の祝辞に金箱さんもタジタジ。トニーレオンに似ていると言われ赤面。

November 24, 2016

By chance

IMG_0642.JPG
三浦展の新刊(『毎日同じ服を着るのがおしゃれな時代』光文社2016)の中に「SNSは都市を分散型にする」という項目がある。SNSに流れる様々なイベントが毎日いろいろな場所で行われ、そこそこの人々がそれに集うという現象を説明している。こうした人の集まり方は組織的な連絡網を使った集客とは異なりネット経由の偶然のちからによるところが大きい。
これと似たようなことを、マーク・ウィグリーとビアトリス・コロミーナが1月の南京でのシンポジウムで言っていた。彼らはインターネットが建築や都市の境界線を溶解し、アクティビティと場所の対応関係を崩壊していると指摘した。例えばニューヨーカーの仕事場はオフィスではなくネットに繋がる何処かなのである。ここでは場所とアクティビティの関係が偶然に支配されているのである。

November 23, 2016

ロバートフランク

image.jpeg
hurannku1IMG_3924.jpg
hurankju2%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3%202.jpg

Robert Frank:Books and Films, 1947-2016 in Tokyo の最終日。芸大陳列館には長蛇の列。僕はかなり前に彼のThe Americans を購入し建築の授業で使っていた。そんなわけでこの展覧会には飛んできた。何故最終日にきたかというと本日鈴木理策と松下計の対談が行われるから。この対談とても面白かった。この手の話しによくある裏話はもとより、鈴木とフランクの共通性(日常性)が垣間見れたのが興味深かった。さらに松下曰く、作品作りは言葉が先にあるのではなく直感が先にあるべきで言葉はそこについてくる。フランクはそういう人だという指摘に頷いた。

November 22, 2016

結婚記念日

FullSizeRender-60%E7%B5%90%E5%A9%9A%E8%A8%98%E5%BF%B5%E7%9D%80.jpg
結婚記念日なのでちょっと高いワインを買い普通の豚肉のロースを焼いてセビッチェを作って祝うことにした。開けてみるとこのチリワインはかなり酸味があり好みではない。と思ったが少し放っておくといい味になってきた。セビッチェは野菜が多すぎたのでタコを少し加えてみるといい味である、肉はいい感じである。近所に昼からしか開かない肉屋がある。ここの肉がなかなか美味しい。かぼちゃの種の油で焼いてみた。美味しい。日本で肉食べるなら豚だな。南米行って牛食べればいい。

November 21, 2016

文明が衝突している

IMG_3911%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3.jpg
サミュエル・ハンチントンの『文明の衝突』は1996年に書かれ2年後に翻訳が出ている。その要約に日本で行った講演を加えた新書版が2000年に出版された。サミュエル・ハンチントン鈴木主税訳『文明の衝突と21世紀の日本』集英社新書2000である。
冷戦はイデオロギーで世界を分裂させたが冷戦終結後は異なる文明が衝突すると予言した本である。世界は八つの文明に分かれている。①西欧文明②東方正教文明③中華文明④イスラム文明⑤ヒンドゥー文明⑥ラテンアメリカ文明⑦アフリカ文明。そして⑧日本文明である。これらの文明は日本を除くと幾つかの国民国家によって成立している。そしてこれらのグループはお互いに助け合い文明を維持していく。
この本の面白いところは先ず、こうした文明の衝突は予言通りになったということ(9.11など)。
二つ目はこういう世界の多極化をuni-mutlipolarsystem(一極多極体制)と呼び超大国アメリカに対して中国、ロシア、インド、イスラエル、ブラジル、独仏連合、イラン、インドネシア、ナイジェリアという地域大国がありその下にナンバーツー大国イギリス、ウクライナ、日本ヴェトナム、韓国、パキスタン、オーストラリア、サウジアラビア、エジプト、アルゼンチンがあり、超大国アメリカは地域大国が強大にならないようにナンバーツー大国に資金注入して地域大国を牽制するという構図が出来上がっている。
三つ目は日本文明は日本以外にその基盤を作る国はないので他のどの文明を助ける義務がない代わりにどこからも助けられない運命にあるということである。

現状の世界をここまで正確に20年前に予言していたのか思うと驚愕である。今からでも遅くない。ぜひ皆が読むべき本である。

November 20, 2016

宮晶子さんの新作

image.jpeg
IMG_3909%E5%AE%AE%E5%AE%AE.jpg

宮晶子さんと四谷坂町のスペースをシェアすることになって早いものでもうすぐ1年経つ。一年経ったら宮さんの設計していた住宅が完成した。と言っても宮さんが本腰入れて設計し始めたのは今年の三月だったと思う。。敷地は深谷から車で10分。畑と墓地と住宅と学校に囲まれている。去年宮さんの設計でできたレストランの同じ敷地内のハナレという位置づけ。レストランから見える。レストランで働き帰る所はレストランとは異なるものにということで、レストランはベニヤ壁柱frp仕上げなのに対して、ハナレは箱状ガルバ仕上げである。写真の玄関ドアから推測される通り、床を埋めて軒を低く抑えている。長方形が噛み合ったつなぎめの空間のくびれと広がりがこの建築の絶妙な所。

November 19, 2016

mori eiki の写真

IMG_3890%E3%82%82%E3%82%8A%E3%82%82%E3%82%8A.jpg

第39回木村伊兵衛賞を受賞した森栄喜の『intimacy』は男が男に向けた眼差しである。半裸の若い男性がアパートで目が覚め、そして眠る、散歩に出て寝転がって起きる。一体どのくらいの時間が過ぎているのかも定かではないが、なんとなくこれを見たとき感じたのは研究室で寝起きしている若い学生たちの寝起きの姿である。研究室に行くと常時数人の学生が寝ているのに遭遇する。教師が入ってくると、時間によるがさすがに起き出して寝床を片付けてというような姿に出くわすのだが、そのぼーっとした顔やだらしない服装がこの写真集に重なってくる。タイトルのintimacyは写真家の被写体に向けた視線の質を表しているのだろう。写真には優しさが感じられる。

November 18, 2016

年末の過密スケジュール

neparFullSizeRender-59visa.jpg
年末のスケジュールがやっと固まった。12月22日:ロベルトワークショップの最終講評会。アルゼンチン大使館から書記官ともしかすると公使も来られるかもしれない。23日:3年製図合評会。24日:スチュワート研の忘年会。小沢君教授昇進お祝い。25日:修士設計レビュー。坂牛研OB全員集合し昼から夜まで徹底レビュー。終わったら研究室忘年会withOB。その日の深夜の飛行機でカトマンズへ。環境省委託のエコシティデザイン調査。31日の朝成田へ戻る。ネパールのヴィザが今日旅行社から届く。

god bless you

unnamed.jpg
ウィーンからの学生を受け入れるためにいろいろやっていますが大変です。うまくいくといいのですが。

November 17, 2016

ポストモダン以降の転回

%E3%81%93%E3%81%93%E3%82%8DFullSizeRender-16.jpg
ポストモダン以降に3つの哲学的転回があると言ったのは岡本裕一郎である。その3つは
① 自然主義的転回
② メディア技術論的転回
③ 実在論的転回
実在論は建築との関係が深いため身近なのだけれど①と②はそういう議論はあるとしてもそれほどのものかと思っていた。しかしさらさらと読んでみるとなかなか重要だということも分かった。
① の教科書
1) アンディー・クラーク著 池上高志、森本本太郎 他訳 『現れる存在−脳と身体と世界の再統合』NTT出版2012(1997)
2) ジョン・R・サール著 山本貴光訳『心の哲学』旭出版社2006(2004)

② の教科書
1) ベルナール・スティグレール著ガブリエール・メランベルジェ 他訳『象徴の帝国−ハイパーインダストリアル時代』新評論2006(2004)
2) ダニエル・ブーニュ著水島久光 西兼志訳 『コミュニケーション学講義−メディオロジーから情報社会へ』書籍工房早山1998(2010)

November 16, 2016

三次の模型

IMG_3851%E4%B8%89%E6%AC%A1.jpg天王洲に用事があり建築倉庫に寄ってみた。たくさん模型があって学生は楽しいかもしれないけれど、皆さんの模型がどの設計段階の時にどういう目的で作ったのかが書かれていないのでほとんど僕らには無意味な展示である。でも青木さんの三次市民ホールの大きな模型は興味深かった。本物は雑誌でみているから知っているが、こう言っては失礼だがなんの変哲もない外観である。模型もおそらく実施段階に作られたものだろう大きな模型で実物そっくりである。なんでそれが興味深かったかというと、なるほどプロポ案に模型写真を載せていない理由がなんとなくわかったからである。プロポ案の目玉は平面を上から覗き込むようなパースでその中に人が1000人くらい描かれているものである。もしここに模型写真があったら最優秀にならなかっただろう。賢いプレゼンの作戦勝ちだったことがこの模型をみてよくわかった。それを見るだけでもきた甲斐はあった。

November 15, 2016

象徴の貧困

FullSizeRender-15%E8%B1%A1%E5%BE%B4.jpgベルナール・スティグレール 著 ガブリエル・メランベルジェ他訳『象徴の貧困−ハイパーインダストリアル時代』新評論2006(2004)は以前読んだ『偶有からの哲学』の前著である。ここでも前著同様補綴性の話は出てくるが、現代における人間の補綴性が種としてITやテレビによってなされることで現代人から象徴を読み取る能力を喪失させている(象徴の貧困)と否定的に捉える。テレビは「誰でもない」意識を蔓延させ、ネットは人に先回りして欲望を規格化する。著者はこれを象徴の貧困と呼び人々の芸術性とともに政治性を失わせるという。というのも政治とはジャック・ランシエールが言うように感性の産物である。人々のsympathy(共感)とempathy(感情移入)が政治意識を生むのである。

先日ディエゴと水戸に行く時行きも帰りもずっとトランプの話で費やした。時差ぼけなどなんのそのである。その中で彼が面白いことを言っていた。二人の候補の応援団は互いに直接会うこともなく、相手と議論することもなく、相手を説得するというような場面がまるで起こらない。お互いはテレビの中に相手を見るだけである。まるでイランイラク戦争をテレビの中のみで見るヴァーチャリティーに近い。これはまさに象徴性の貧困である。

政治と芸術は紙一重である。共感と感情移入が政治を作り芸術も作る。象徴の貧困を回復するにはどうしたら良いのだろうか?

November 14, 2016

コンテクスト、歴史、記憶

拙訳『言葉と建築』の第二部には18のモダニズム概念が並んでいるがよく見ると3つの言葉がよく似ている。それらは「コンテクスト」「歴史」「記憶」である。この言葉の意味の差はこの本の中では、コンテクストは形の中、歴史は文献の中、記憶は心の中に宿るものである。これらの中で何がデザインに有効かと考えるなら一番てっとり早くてわかりやすいのは形に宿るコンテクストである。モダニズムは手っ取り早くわかりやすいことを大事にしたので彼らはコンテクスチュアリズムを生み出したのである。よくコンテクチュアリズムはモダニズムに対立する概念だと言われるが、立地環境を気にしないという面では確かにモダニズムはアンチコンテスチュアリズムだが、フォルマリズムという点ではコンテクスチュアリズムは上記三つの概念の中では最もモダニスティックなのである。そして次に使いやすいのは歴史である。なぜならこれもすでに文献化されて認知されているからである。認知されているものは使いやすい。よって記憶が最も扱いにくい。こんなあやふやなものを根拠に建築を作るのは危険極まりない。だから滅多にこんなものを使って建築を作る人はいない。しかしそれだからこそ成功した時の効果はもっとも大きい。記憶を頼りに作った建築を探してみればいい。実に奥が深く感動的である。しかしそれは説得できるものではない。できてみて初めてわかるというようなものである。

November 13, 2016

2016年のIT

IMG_3831%E7%99%BD%E7%99%BD.jpg
このところ何かするのに必要なものはマックとiPadと大きな虫眼鏡である。以前ベルナール・スティグレール浅井幸夫訳『偶有からの哲学——技術と記憶と意識の話』新評論2009の中で書かれていた人間の補綴性を思い出す。それは人間はそもそも補綴性というべき不完全性を生来持っている。入れ歯だ義足だ補聴器だというようにどこか悪くなるとなんらかの技術でそれを補う。というわけだが、漢字を覚えきれないからマックを使い。新しいことを知るためにipadを使い目がもはや見えないので虫眼鏡で補強するわけである。だからこれら外在かされた技術に記憶が宿るというわけである。孫たちは驚くだろう。おじいさんはこんな不便なITを使っていたんだと言って。

November 12, 2016

四谷には早々とクリスマスイルミネーション

IMG_3826kurisumasu.jpg
本日は論文発表会。設計系の人で論文と卒計の両方をとる人の論文発表である。エンジニア系の人は論文だけという人もいてその人たちの論文発表会は1月である。というわけで本日は毎年、設計、歴史、研究室の人たちが発表するのだが今年は設備、構造の研究室の学生が一人ずつ発表した。これは面白いことだ。来年もさらに増えればと思う。さらに今年は発表の着眼点が面白いものが多かった。「これは満点」なんてかなりリップサービスしたのはそういう満足を少しは表明しておいた方がいいだろうと思ったからである。
昨日少々飲み過ぎて今日はこっそり帰ろうと思ったが、そうは行かず4年生と飲みに行った。しかしあまり長居せずに9時頃帰路へ。三栄通りには早々とクリスマスの飾り付けである。

November 11, 2016

パインギャラリーがバロックに

image.jpeg
Diego Grassとパインギャラリーを訪れる。彼はOn Architectureという建築作品のビデオサイトを作っている。世界の名建築200くらいがそこへ行くと見られる。世界の有名建築学科、イェール、ハーバード、コロンビア、MIT etcはこのサイトをサブスクライブしている。毎年30ずつ増やす計画で今回日その一つとしてパインギャラリーを撮って貰った。久しぶりに来たら当初より飾る予定だった六曲屏風が飾られていた。急にストイックだった空間がバロックになっていた。

November 10, 2016

住まいの社会学

image.jpeg
磯村英一『住まいの社会学』毎日新聞社1984を読む。著者は明治生まれの都市社会学者。膨大な著書があるが住まいに言及したものは少ない。スラムとは何か、スクゥオーターの歴史などそれぞれの解説は短いが未だに有効なトピックが並んでいる。

磯村英一『住まいの社会学』毎日新聞社1984を読む。著者は明治生まれの都市社会学者。膨大な著書があるが住まいに言及したものは少ない。スラムとは何か、スクゥオーターの歴史などそれぞれの解説は短いが未だに有効なトピックが並んでいる。

November 9, 2016

とても残念気持ちである

今回のアメリカ大統領選は僕の中ではこれまでの選挙とはだいぶ思い抱く感情が異なる。というのもたまさか大統領選の予備選が終わる頃にポケットワイファイを解約して光を導入したのをきっかけに光テレビを入れて毎朝BBCを見るようになったのである。その内容の3割くらいは毎日大統領選である。加えてその頃足首の痛みがひどくジョギングをやめて自転車で皇居を一周するようになり自転車をこぎながらアイフォンでBBCを聞くようになった。するとここでもテレビとは異なる内容で大統領選の様々なレポートが流れるのである。大統領選のことが頭から離れる日はなくなってしまった。それゆえ以前の選挙の時よりは二人の候補の人となりをより多く知るようになってしまったのである。そしてそのレポートを聞き、ディベートを見ているうちにトランプが人間的に国のトップに立つ人間としては不適格であると思えてきたのである。これは政治公約以前の問題である。セクハラ事件はもとより、ヒラリーをNastyと形容する女性蔑視。自国の民を潤わせるためとはいえしてはならない人種差別的発言。政治とは様々な利害関係の調整の上に成り立つのだと僕は思っている。一人勝ちすることが政治だとは決して思えない。一人勝ちすることが勝ちであることを掲げて国民を扇動するのはあってはならないことだと思う。知性も理性も何もなくなってしまう。
30年前にアメリカに留学した時にアメリカ文化の授業でアメリカで最も尊敬されるのは学者でも医者でも弁護士でもなく金を稼ぐ実業家であると聞いた時に浅ましいがプラグマティズムの一面なのだと諦めていた。その後そのプラグマティズムは希薄化したかに見えたが、30年経ってまた(まだ)その価値観がはびこるのを見るのは本当に悲しい。

東京ガーデンテラス紀尾井町

IMG_3775akapuri.jpg
赤坂プリンスが壊されて巨大ビルができた。東京ガーデンテラス紀尾井町という名がついている。オフィスの上にプリンス系の最上級ブランドのホテルが乗っている。窓の透明度のせいか、天井伏のせいかオフィスの照明が煌々と外に溢れ出している。基準階面積が巨大なせいか建物のプロポーションがあまり良くない。

November 7, 2016

ユーカリと柚子

image.jpeg
ユーカリと柚子の苗木を買った。しばらくこの場所に慣らすために植え替えずにいる。このところ、植木を麻布十番にある日清ワールドデリカテッセンで買う。結構安いのと配達してくれるから。配達料は800円だが、量に関係しない。ここに来る時は来客がある前日で、沢山食材を買う時である。ここは肉がかなり安い。一昨日もローストビーフ用のもも肉を1.2キロ、ステーキ肉を0.2キロ買って2000円しない。なので配送料800円は高くない。ユーカリも柚子も初挑戦。無事育って!

Diego Grass 来日

IMG_3757wq%E3%82%93%E3%81%A9%E3%81%A7%E3%81%83%E3%81%88w%E3%81%94.jpg
本日3時半にチリの友人ディエゴゴグラスが来日した。我が家で食事をする予定で僕もその準備をしていた。今朝山道君も来られるかと聞いたらイベントがあるけれど来られるということだった。7時にでディエゴが到着し、8時に山道君が来た。帰る頃になると皆元気が出るのだがもう12時。では金曜日に続きを。

November 6, 2016

eyeglasses

FullSizeRender-55sakausi.jpg
娘とスカイプで話をしていたら娘の友達がそばにいて少し話をした。メガネが似ているねと言うと、これはファッショナブルな形だと言って褒めてくれた。電話の後でメガネのトレンドをネットで調べて見てみた。http://www.vintandyork.com/content/best-mens-eyeglasses-2016/
2016年の形の流行りは
・ oversize(大型)
・ round John Lenon(丸型)
・ Club master brow line (眉毛強調)
・ Square (四角)
・ Bold Thic (大胆に厚く)
・ Titanium metal (チタニウム)
・ Flat top(上部が水平)
・ Wayfarer (比較的四角い)
・ Aviator(飛行機乗りがしているような)

これも一種のstyleでstyleにどういう名前をつけるのかはとても興味深い。僕のメガネはRayBan Rb 2180vf というラウンドタイプ(丸型)で上記ジョンレノン型の変形である。
フレーム色のトレンドは3つあって鼈甲、透明、黒である。僕のは鼈甲柄が混じった黒である。全体的に大きくて太い作りが最近の流行りのようである。

November 5, 2016

義父の言葉

FullSizeRender-54%EF%BC%91%EF%BC%93%E5%9B%9E%E5%BF%8C.jpg
義父の十三回忌の法要を高輪覚林寺で行った。酒好きでタバコ好き、書も絵も上手く、庶民の味方の会計士だった。僕もだいぶお世話になった。最後の数年を一緒に暮らした。肺がんで長い闘病生活もなく他界した。
僕が日建設計をやめようと思った時に背中を押してくれたのはこの人だった。独立は男のロマンであると言ってくれた。しかるに人生は一回きりで自分の好きなこと以外をしてはいけないと息子を教育していた自分の父親は今の世界経済を予測して建築家に仕事はなくなるから独立はやめろと長文の手紙を送ってよこした。やれやれと思ったが、息子はそんな親父をシカトしてさっさと日建をやめた。仕事量は少ないがより価値ある仕事が続けられていると満足である。人生とはそういう科学的予測とはかけ離れた人間の意志で切り開かれていくのであるとその時思った。そしてそれは義父の言った通りロマンによって支えられた。ロマンがあれば前へ進めるし無いなら進まない。

November 4, 2016

存在と生成

「生成」と「存在」の問題を考えていたらドゥルーズにたどり着いた。ドゥルーズがどう考えているかはとりあえず置いておく。自分はどうありたいのかを考えてみるなら、固定した「存在」より常に新しく「生成」されていたい。「存在」は細胞分裂が終わったはく製のようなもので「生成」していることが生きている証である。自分は常に変化していると思いたい。別の言い方をするなら成長していたい。
そこで日常の自分の生活を考えてみよう。自分は教員であり建築家である。一体そこで自分はどういう教員と建築家を生きているのだろうか?
人が職につく時は自分にあった職を探すものである。そのためにその職に必要な技術を身につけ作法を学ぶ。しかしその職に求められている作法や知性に100%合致した本性を持つ人間はいない。よって職が求めるペルソナを演じなければならない。そして仕事が終わるとそのペルソナを脱いで自分に戻るのが普通である。しかしユングが言うように医師や裁判官や教師は自分の仕事への自尊心がとても強く、仕事中の仮面が素顔に「食い込み」外せなくなるのだという。
つまりこうなった人は自分に戻れないのである。そしてペルソナという存在に入れ替わりペルソナという「存在」になってしまうのである。そうして固定した「存在」になるともはや「生成」は求めることも難しい。僕の周りにもこうしてペルソナに乗っ取られてしまった人が結構いる。可哀想なのだが本人はもうペルソナになってしまっているので気づいてないところがまた可哀想である。

アルゼンチンの雑誌が建築家協会賞

FullSizeRender-54up.jpg
FullSizeRender-53up.jpg
2年前にアルゼンチンのパレルモ大学に依頼されて寄稿した。それはシルベルファーデン、ビスマン、ロベルトたちが作っていたディテールの専門誌である。技術をフィーチャーしたきれいなブックで「内の家」のディテールとその考え方を英語で送った。スペイン語に翻訳されてきれいにレイアウトして出版された。
その本がアルゼンチン建築家協会の賞をとり寄稿に感謝しますというメールが今朝届いた。寄稿者にもこうしてお礼を送ってくれるのは嬉しいことである。アルゼンチンは中国と違って寄稿すれば必ず出来上がりを送ってくれるしこういう情報も伝えてくれる。このあたりが社会の成熟度の差である。

November 3, 2016

デンバー

IMG_3606%E3%83%9E%E3%83%AA%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%8A.jpg
コロラド州デンバーでは普通にマリファナは合法で、人工農園でマリファナを室内栽培している。バスを貸し切ったマリファナパーティーを取材しているBBCのレポートがなんだか滑稽である。僕のいたロサンゼルスも自分で吸うのや個人使用分を所持しているのは合法だったがそれは30年前の話。未だにこんなおおっぴらに吸っている州があるとは知らなかった。

November 2, 2016

都留の住宅

image.jpg
東京から車で1時間。大月を越えると山梨県都留市につく。都留文科大学があり若者も少しいて文化の香りもある。自然も残りしかしその先の富士吉田あたりほどでは無い。東京にちかくでも都会の雰囲気は無い。と言う東京近郊に今後どういう生活が生まれ、それに対してどんな住宅があるかを地元の工務店、滝口建設と共同研究を始めた。今日はその最初の打ち合わせ。場所はlittle robotと言う滝口建設が経営するカフェ。3時間半終わったら5時。さあ中央高速が混みそうだ。

November 1, 2016

白の本

IMG_3573%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%83%BC.jpg
『メディアとしてのコンクリート』の次に何を訳すかということで半年近くいろいろな本を収集してはメールでやりとしてやっと決まったのがMark Wigley のWhite Walls, Designer Dresses –The Fashioning of Modern Architecture MIT Press 1995である。少し古い本であるが、モダニズムの本であるから古くてもあまり問題ではない。この本を最初に教えてくれたのはヴァージニア大学のShiqiao Li という中国人のプロフェッサーである。かれは清華大学を卒業してAAで学んだ秀才である。1月のシンポジウムでひときわ鋭いことをいう人だった。その彼が僕のレクチャーで見せた「内の家」の黒い居間の黒を賞賛し、逆にモダニズムの白の話しになり、そういえば同じシンポジウムに出席している Mark Wigleyがモダニズムの白について書いているよと教えてくれたのである。Mark にそのことを訪ねてどんな本かを聞く時間はなかったのだが、建築とファッションの関係にも言及されていてこれまでの単なる過去との断絶というような単純な論理ではなさそうなところが魅力的である。400ページ近い本でその分量に最初から圧倒され気味だが戦力を補強した。シンガポールにいるスチュワート研の岩下君と僕の研究室のゼミに参加してくれていたICUの岸君である。これはパワフル。頑張って2年半くらいで終わらせたいところである。

ラリーの応酬

FullSizeRender-52%E3%83%AD%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%88.jpg
朝から国内外に計38本のメールを打って力尽きた。ありがたいことに打てば即座に打ち返してくれる方もいらっしゃる。しかし、それをまた打ち返せねばならずラリーが続くと結構しんどい。その上添付ファイルがどっとついてたりすると真綿で首を絞められているようでもある。アルゼンチンから打ち返された球にはPDFが4つも付いていてよく見るとその一つは300ページもあるじゃないか!!Oh my Give me a break!!
しかしこれらはすべて年末から始まるWSの課題書と参考文献。本当にかれらはこういうことがきちんとしていて好きである。

ネオプラトニズム

IMG_3570%E3%83%9A%E3%83%AB%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%8D%E3%83%B3.jpg
昔ミナペルフォネンで手に入れたコットンT シャツのように見えるウールのカットソーである。着てないくらい軽く、薄いのにとても暖かい。それなのに6 色の正方形ウール地が縫い合わされた手の混み方。最近作る人のなぞかけが入っているものが好きである。今日の授業でも言ったのだが、なぜ?と問いたくなるような建築の方が楽しい。その問いけが深ーくなれば立派なプラトニズムである。