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April 30, 2016

Next task

13087236_999144650177232_447590146392406278_o.jpgI have finished what I was tasked with at UPC. It is a great load off my mind.

Then after the dinner last night Enric suggested me that we have an international conference about architectural theory and design paying homage to Architect Kazuo Shinohara, for his high professional work instituting the Chair Kazuo Shinohara. This discussion may start with what Kazuo Shinohara still propose in the present. Then I think this could make us to think more profoundly and find out the new value of architecture for the future.

Proposers are Enric from Barcelona, Ernst from Vienna, me, and some from Tokyo Tech, some from shanghai, those are the core members and some believers like Christian Kerez from Swizland and others from all over the world.

I think I would like to held the meeting which has the same quality as the one in south east university in Nanjing annually. I hope we will continuously held that international meeting to make another movement for all over the world.

公開審査終わる

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エンリックのドクター論文審査会の日である。10時半にUPCに向かい、11時から5人の審査委員だけがアドミニストレーションの部屋に通され事務員に評価方法の説明を受け審査用紙を受け取る。審査員は全部で5人座長が僕でUPC 教授のXAVIER VANCELLS GUERIN他3名。ルールではUPCの教授が1人以上2名以下いなければいけない。そして審査会会場に場所を移しまるで裁判をするかのように壇上に一人対5人で座り、エンリックのプレゼンが始まる。約1時間素晴らしプレゼンだった。それに対して5人の審査員から15分くらいずつの感想と質問が示されそれに対してそれぞれ答えて2時ころ大体のダイアローグが終わり聴衆とエンリックは退出し5人の審査員で審議が行われた。もちろんパスなのだが、4段階のグレードがつけられ5人満場一致で最高点のexcellentがあたえられた。さらにその上の評価がプラスされ(これはまだシークレットなのだが)たところで聴衆とエンリックを部屋に戻し、私から合否の報告とグレードと最終講評を述べて終わった。それなりに僕としては準備と話す事でエネルギーを使った仕事だけれど、とてもいい経験だったし、何よりも私たちの恩師の内容が国外でドクター論文として合格した事にちょっと痺れた。
昼食後エンリックのオフィスで私のディスコンティニュィティについてのレクチャーをした。来てくれたのは先ほどのジュリーメンバーの建築家たちである。皆興味深そうに聞いてくれたし、多くの質問をもらい大きなレクチャーでは味わえないインティミットな会話ができてよかった。

April 29, 2016

2つのサイン

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昼ジョセップ・フェルナンドの事務所を訪れ最近の仕事を見せてもらう。アルゼンチンの大学のコンペのファイナリストに残っており明日ブエノスアイレスに行くためのパワポや夏に作る仮設の木造のインスタレーションを見せてもらう。とても興味深い。茜の家のフォトブックを差し上げる。彼は日本に来た時に五十嵐淳の建物を見たそうだがそれと似たものがあると言っていた。五十嵐さんも篠原が好きだから何処か似るのかもしれない。フォトブックの代わりに彼の作品が載っている本にサインをもらう。
夕方エンリックの事務所に行き明日の彼のプレゼンのためのアドバイスやら質問やらをする。やはり少し話して聞いてみると彼の言いたいことがよくわかってきた。やはりなかなか深い考察が張り巡らされていて面白い。最後の完成版のコピーにサインをもらう。

April 28, 2016

テュロファミリー

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昨晩はフェルナンド父のオフィスを訪ねその後イタリアンのヌーベルクイジーンパーティーにご一緒した。今朝はその二人の息子ソルとフェルナンドと朝食。本当に仲の良いこの家族に僕が最初にあったのは今から3年前の1月。セルバンテスインスティチュートで僕が企画した展覧会のオープ二ングの時だった。セルバンテスの館長アントニオが3人を僕に紹介してくれた。兄貴は文系で親父さんのゼネコンを手伝っていて、弟のフェルナンドは建築を学んでいてそのうち日本で働きたいと言っていた。
それがその後実際に日本に来る段になり彼を日建においてもらった。そうしたらその後バルサのコンペがあり、フェルナンド父の活躍もあり、ことここに及んだというわけである。
まったく人生わからんものだけれどsuch is lifeと今日朝飯を食いながら3人で人生の偶然に驚いたわけである。

バルサスタジアム

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夕方ひょんなことから日建設計の村尾くんとお会いする。バルサスタジアム改修コンペの担当役員である。これから5年間かけてこの建物の周囲に水平スラブをぐるりと回す。成田を出る時その天井を見ながら「日建は水平無柱空間の様式を忘れてはいけない」とブログに書いたが、見事にここでそれをやっているではないか。結構なことである。
2日いるだけでこのコンペについて様々な意見をお聞きする。アップサイドもあればダウンサイドもある。建築なんてみなそうだ。と言ってしまえば元も子もないがまあ±0だろうか。できてなんぼである。がんばってほしい。

10のパブリックハウジング

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UPC(カタルーニャ工科大学)建築学科の建物はラッショナルだが無機質ではない。様々な発見を導く工夫が見られる。この階段の作り方も実にうまい。地下へ吸い込まれるようである。
そこで10のpublic housingというタイトルの展覧会が行なわれている。エンリックの作品も展示されている。そこで10の建築家によるレクチャーとラウンドテーブルが行なわれる。そこに招かれ学部長、副学部長、などなどのプロフェッサーに紹介していただいた。パブリックハウジングとは公が作るハウジングだが、収入によって家賃補助が出る。バルセロナ市内で50平米でも学生なら300ユーロで借りられる。東京ではどうだろう?若い人が本当にクリエイティブに働ける町は住環境からだと思う。ヨーロッパのパブリックハウジングを真似るなら今ある団地や、その他の(学校など)をコンヴァージョンすることだと思う。

April 27, 2016

Cancellation of my lecture

The lecture of mine that is supposed to be held on this Thursday on UPC has been canceled for admistrational reasons. I feel sometimes the office workers in University all over the world including Japan are so cold and not very much helpful. Though it is a pity, I`ll do it in my friend`s architectural office tomorrow. I would like to discuss my recent works and thinking under the global intelligence.
By the way this is the third time when my lecture was canceled. The first one happened 4years ago in Shanghai. Canceling all the events including lecture related with or done by Japanese were directed by Chinese government for political reason, but the professor of Tonjing univ. was so kind to offer me an opportunity to give a kind of private lecture on campus.
The second one happened at Santiago Chile last year, at that time I could not be there because of the strike of the airport staffs. It could not be helped.

So it means that this cancellation of my lecture has been the first one during these past ten years.

シンプルで多様

87c308abb4514b8615c40a47a4985b70_content.jpg見た瞬間好きになりました。ポイントはごちゃごちゃ色がないのとロゴ。よーくみると左の丸は左右対称じゃないですね。
配偶者とテレビを見ていてこれが出てきた瞬間に異口同音に「これ好き」と口をついたのです。瞬間的に好きになった理由を分析すると、おそらく上の二つの理由以外に
①僕の(多分多くの人の)様々な記憶を喚起するメタファーがこの幾何学の中に多く隠されている。
②にもかかわらずシンプルだからだと思うのです。
シンプルで多様(というcontradiction)を内包したものが今求められているのです。

南の花

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昨夏はバルセロナ旧市街のそばに泊まっていたので朝街をあるいても植物があまりなかった。今回はエンリックの事務所の近くで街のやや北、チュロ公園のすぐ隣り。春だからだろうかカラフルな花が、南国の渇いた場所特有の厚ぼったい茎で保護されたごつい花が迎えてくれる。

地球の裏からおめでとう

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ロベルトから誕生日おめでとうメールをもらった。先週の土曜日にボカvsリバプレートを見に行ってきたという写真付き。何時も卓を忘れないというコメントがな泣ける。一緒に見たい!!

バルセロナ・カーシェアー

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一段と狭いアエロフロートに詰め込まれてやっとバルセロナに到着。この地もすでに4回を数える。今回はエンリックの論文審査のための短期滞在である。夜の11時着が少し遅れてロビーに出てきたら12時近いがエンリックが迎えにきてくれていてシェアリングのカーでホテルへ送ってくれた。シェアリングカーは様々な駐車場の一画においてあってどこに返してもいい。この写真はホテル近くの駐車場。ここに乗り捨てホテルまであるいて5分である。便利だねえ。

April 25, 2016

広い部屋

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ゼミ2週め、僕らは毎週2回、月金の午後にゼミをしている。月曜日は卒論、修論。金曜日は輪読、設計。研究室の人数が今年は例外的にふくれあがり加えて研究棟のゼミ室が狭いのと天井吸音が無くて声が届かないのと外部に向いた明るい窓がないので、最近講義棟の上層階の空いている広い部屋をお借りしている。音が響かず、視界が広くて気持ちいい。

April 24, 2016

遺伝


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大森(元新建築編集長)さんが作ってくれた茜の家のフォトブックには見開き横使いの写真がある。30センチ角の本だから横30センチ、縦60センチの写真である。そのレイアウトに驚いていたらそのレイアウトは石堂さん(だいぶ昔の新建築の編集長)が篠原一男の「未完の家」を新建築でレイアウトした時にとった方法だと教えてくれた。早速今日生前篠原一男からもらった新建築の抜き刷りを調べてみると、それは「未完の家」ではなく「篠さんの家」だった。茜色の高い天井から落ちるトップライトの光という構成は金色の亀裂空間の高い天井から落ちるトップライトの光とよく似ているのに気づく。うーん。まったく気がつかなかったのだが遺伝か?

April 23, 2016

坂町トーク

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夕方OFDA2Aで月一回の坂町トーク。食事をしながらワインを飲みながら各自の最近の仕事をレビューしました。木島さん、宮さん、宮さんのところで働き始めたHさん、N君は熊本からスカイプ参加。彼は5時から坂茂さんと田中さん平瀬さんと打合せということでスイカイプ修了。S君は今日は実家に帰り不参加。宮さんの美味しい食事をいただきました。

若者の矜持はどこへ

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僕らが学生時代の卒業設計では再開発というのは美しい響きを辛うじて残していた。しかし現在は既存の町並みを一掃するような再開発をテーマとする卒業設計は皆無である。そんな今、未だに再開発で町が壊れていくのは企業レベルでは30年前の価値観が更新されていないからである。
それ自体十分問題だが、そういう事実を知りながら、そういう会社に身売りする若者が後を絶たないことはもっと問題である。彼らの矜持はどこにあるのか?

April 22, 2016

スケッチ紙ジグ

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3月にウィーンで教えていた時、A1より一回りくらい小さいパッド紙をくくりつけスケッチしてスケッチがいっぱいになると破って次のパッド紙にスケッチを描けるというジグがあった。日本でそういうものを探すと出てくるのはイーゼルである。イーゼルだと安いものは不安定だし、大きい木製のものだととんでもなく高い。そこでウィーンに一緒にいった学生に作ってと頼んだら作ってくれた。世界堂で売っている幅50センチ縦70センチくらいのスケッチ紙(この紙がなかなかいいテクスチャー)の閉じしろの螺旋に金属棒を差し込んで上部にくくりつける。描き終わるとめくり上げ後ろ側に送れる。木造の足の下にはキャスターがついていて移動可能。なかなか上出来。ありがとうございます。

April 21, 2016

小西さんの体感した熊本

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大学院製図の前期はコンピューテーションを活用した構造デザイン。竹中さんと小西さんが先生で今日は小西さんのレクチャー。最初に地震の話となり、彼は本震を現地で体感した。というのも、佐藤光彦さんと熊本駅前に広場の屋根を作っているからである。余震に反応して現地に飛んで本震を体感したそうだ。ホテルのテレビも冷蔵庫も水平に1メートル飛ぶように移動したそうだ。このエネルギーなら建築は壊れると思ったそうだ。

April 20, 2016

大分は熊本ほどではないが

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甲府の社会福祉法人の理事長加賀美さんの紹介で大分の社会福祉法人の事務局長さんにお会いすることとなった。相談事は施設の今と未来のことである。現状の施設は緑が多く素敵なところだった。以前玉川さんの設計した別府の光の園を見せてもらった時も緑が多いと思ったがこの施設もそうである。そして大分独特の強い日差しをこの緑が遮っている。
今回の地震でひさしの一部が崩落したり、瓦の一部がズレ落ちたりしているようだが致命的な損傷はないようだ。しかし地面にうっすらと亀裂が入っているのはちょっと不気味である。

April 19, 2016

この未完感!

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青木さんの新しい作品集をリクシルの方からいただきました。中をきちんと読んでいませんが、写真があまりにナチュラルなのに今まで以上に驚きです。ナチュラルといえば装丁がまるで作りかけみたいな未完の感じなのにはびっくりです。

April 18, 2016

堤清二の屈折

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御厨貴、橋本寿朗、鷲田清一編『我が記憶、我が記録—堤清二✖︎辻井喬オーラルヒストリー』中央公論新社2015を読み驚く。彼のものの見方は右左ではなく人間としての一生懸命度だという点。でもそれは否応なくやらされた親父の秘書だったり、無理やり継がされた西武百貨店によるのだろう。驚くのはかなり若くして堤の籍を抜き、康次郎の遺産を受け取らないという一筆を書いていることである。本書にはそのコピーが載っている。

April 17, 2016

ポップアップ広告にまんまとはまる

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Mahabisというブランドの室内履きをネットで買った。ものを見ないでネットでものを買うのはほぼ初めてである(本は別だが)。というのも事務所で使っていた室内履きがぼろぼろになってしまい、適当なものを探していた時にディスプレーでポップアップする宣伝にまんまとハマった結果である。
ロンドンデザインでメイドインポルトガルである。どこから送られてきたかは知らないが国際便で頼んだ3日後に到着した。インナーとソウルが付け替え自由でバラバラに買えて、外でもソウルを替えて使えるというのが売りらしい。

WS TU and TUS in TUS Kgurazaka Tokyo Japan 8/Apr 2016 – 10/ Apr / 2016 Team members

AKIHABARA : Robert Zanona, Michael Amann, Minato Endo akihabara.jpg

DAIKANYAMA: Annika F Bayer, Celen Deniz F Tokuluoglu, Soichiro Oomura
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HARAJUKU: Anna-Stephanie F Sucher, Julian M Edlmaier, Yanagi Hirata, Ryo Yamamoto
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NIPPORI: David M Gabl, Sofia F Pibal, Atsushi Miyamae
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SHIBUYA: Sebastian Johan M Binde, Mahdi M Dahiri Dehna, Cullen
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SHINJUKU: Steffen M Blickle, Robin M Jakoubek, Yusa Masuda, Ratul
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UENO: Alexandro Rossi, Laura F Dallamassl, Luis Fernando, Mori
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YOTSUYA: Lydia F Fahrnberger, Bianka F Harnisch, Takuya Hirano
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April 16, 2016

世界遺産

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富士吉田新世界通りコンバージョンは今年度理科大坂牛研究室共同研究プロジェクト。その先陣を切って、廃墟の中に公衆便所が、ほぼ完成。どこにあるのかって?木リブの間に鏡面ステンレス仕上げなので、美しき廃墟に同化している。この新世界廃墟は下手な世界遺産より世界遺産!

気軽さのデザイン

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課題の金町プレースを勉強する意味でロンドンの区立図書館(IdeaStore) の調査報告書を読んでDavid Adjae のカラフルガラス張りデザインが人々の入りやすさ、商業施設のような気軽さを生み出すためだと知る。

April 15, 2016

今日は3年生の製図オリエン

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授業が始まった1週目は毎晩が製図の説明会となる。今晩は3年生の製図のオリエンテーション。課題は金町プレースと称して金町駅前に場所を作ろうという課題である。もちろん伏線は武蔵野プレースであり、設計者である比嘉さんが非常勤の1人である。加えてSANAAパートナーの山本力矢さん、ツバメアーキテクトの山道、千葉さん。坂事務所OBの浅見さん、谷口事務所OB の塩田さんが指導をする。

April 14, 2016

カスタマイゼーションすること

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コンピューターは既にマスプロダクションに使われている。しかしこれから、あるいは建築に求められるのはマスカスタマイゼーションで言い換えると大量生産から、多品種少量生産の可能性がこれから探求されなければならない。と竹中司さんが本日の大学院製図オリエンで述べていた。そう思う。

April 13, 2016

リフレームされた空間 ―茜色の空間に託すもの      A reframed space - the madder red room

リフレームされた空間
―茜色の空間に託すもの

敷地は千葉県外房勝浦の海から緩やかに上る傾斜地の上の方にある。傾斜地とは言っても角度は緩く絶景が広がるという場所ではない。別荘地として開発されたので一つ一つの敷地は広く協定で塀を禁止しているのでゆったりとした広がりのある住宅地という風にも見える。加えて東京からアクアラインを使えば2時間余りで来られるという利便性のせいで老後をこちらで生活するという定住者も多い。クライアントも既にリタイアして趣味の陶芸を千葉で、都会文化を東京で楽しむ、二拠点居住を考えこの建物を計画した。

クライアントの希望は、陶芸をするアトリエを作ること。車で寄り付いて雨に濡れず玄関とアトリエに入れること。外を見るための建物ではなく落ち着いた室内環境を生み出すこと。ベッドルームを3つ作ること。そのくらいだったと思う。こうした希望に対して我々は最初に3つの案を提示してそのうちの一つが選ばれた。それはほぼこの完成案に近いものだった。あまり迷いもなく間取りが決定されたのはまれなことである

この案の特徴は玄関を入ったところに大きなギャラリーがありこの場所を中心に動線が作られていることである。部屋を移動するときは概ねこのギャラリーを通過するように計画されている。このギャラリーは茜色をしている。この色は各部屋の折り上げにも使われておりあたかも夕焼けの光が差し込んでいるかのような感覚を生み出している。ギャラリーは壁も天井も茜色に染まり天井高も高くひときわ印象的な場所となっている。建物に入った時、部屋を移動するときにハッとして心を覚醒させる強さを持っているように思う。

こうした心の覚醒を建築や都市のデザインにおいて生み出したいという考えは独立して建築を作り始めた世紀の変わり目ころから持っていた。そして建築は建築という動かず毎日同じ姿を見せる物理的実体にも増して、建築以外のもの、例えば建築の外部における植物、人、空模様、内部ではペットや住人達に大きな力があるように思い始めた。そして建築はそうした建築以外の物を切り取るフレームのようなものではないかという仮説から「Architecture as Frame」(フレームとしての建築)という本を上梓した。その考えは今でも基本的には変わらない。しかしどうも自分の中には建築にも少しの力を期待している節がある。
直近の3つの住宅を思い返してみるとどの建物にもこの住宅と同様に部屋と部屋を移動するときに経由する場所にかなり強い印象を持った場所を作っているのである。もう少し抽象的に言えば空間の質の不連続性を作ることで建物を多様なものにしようとしてきたのである。
の不連続な空間をどのように形容したらいいのだろうか?建物全体は内外部に開かれ多様な関係性を持ったフレームのようなものではあるのだが、この不連続を形作るインビトゥイーンの空間それ自体はむしろある孤立した強い独立性を持っている。この家の重心として精神的な核となっている。つまり建築全体がフレームであるならばその中で再度強いフレーミングをしているのである。その意味でこれはリフレームされた空間と言えるであろう。
そこで直近3つのリフレームされた空間について簡単に説明しておこう。
1つ目は2009年に竣工した「高低の家」である。この建物は3種類の空間で構成される。トップライトから光が舞い降りる細い廊下空間(写真右)。それに繋がる天井が低く暗い空間(写真中央)。さらにそこにつながる天井の高い明るい空間である(写真左)。ここで3つの空間は異なる質を持ち不連続性を持ち中央の空間がリフレームされた空間となっている。
2つ目は2010年に竣工した「三廊下の家」である。この建物は名前の通り東西に3つの廊下があり3つの室と和室、書斎、居間、食堂、水回りがこの廊下によって接続されている。3つの廊下のうち中央のもの(写真中央)は天井も高く強い印象をもった空間となっている。ここでもこの中央の空間はリフレームされた空間と言えよう。
3つめは2013年に竣工した内の家である。この建物は四つの個室が白い吹き抜け空間の周りにまとわりつくように配置されており部屋の移動でこの白いボイドを通ることになる。この白いボイドは1階広間の黒い空間ともそれに続くグレーの個室空間とも異なる異質の空間でこの建築をリフレームしているのである。これら3つの建物のリフレームされた空間同様、本建物の中心にある茜色のギャラリーも同質のリフレームされた空間となっている。
4つのリフレームされた空間に共通することは建物全体コンセプトである「フレームとしての建築」が開かれたものであるのに対して、内省的な場と言えるであろう。
これからしばらくは建築以外と建築自体とのデュアルな力のバランスに建築を載せてみようと考えている。

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高低の家 High and Low House 2009

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三廊下の家 Three Corridors House 2011

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内の家 House House 2013

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茜の家 House in Madder Red 2015

A reframed space - the madder red room

The site sits on a higher side of a hill that gently climbs up from the Pacific Ocean near Katsuura, located in a region called Sotobo (Outer Boso Peninsula) in Chiba prefecture. The slope is not steep enough to make it a spectacular lookout point. The area has been developed for vacation homes with spacious lots. The local rule prohibits the fences, which makes the whole area look like a comfortably stretched residential quarter. In addition, as it is under a three-hour drive from Tokyo via TokyoWan Aqua-line (Trans Tokyo bay Expressway), its convenience has attracted a considerable number of retired people who decided to spend their remaining lives over here. As for my client, he has already retired from work, is enjoying an urban cultural life in Tokyo, and spending his hobby time as a ceramist in Chiba. The house has been planned as his second home.

The client didn’t ask too much: he wanted an atelier for his pottery making, a direct approach from his car to the entrance and his atelier without being wet in a rain, a calm inner environment rather than a good view, and three bedrooms. We offered 3 design plans, and he chose one which was very close to the finished design presented in this book. It was a rare experience that the client accepted our layout plan without much pondering.

The key characteristic of the plan is that there is a large gallery next to the entrance, which is the hub of the traffic in the house. The plan has been made so that the residents frequently pass through this area when they move between the rooms. The entire gallery from the floor to the ceiling is painted in madder red which is also used on the coved ceiling of each room to create an effect as if the glow of sunset is filtering through the window. The gallery is especially impressive as the entire space is filled with madder red and the ceiling is very high. It has strong energy to refresh people’s senses when they enter the house or move between the rooms.

I have had a desire to bring about the re-freshening of the senses to people by way of architecture and urban design since the time I became an independent architect around the turn of the century.  After a while, I began to think that a piece of architecture is merely a fixed physical object that shows the same look every day, and there are more dominant non-architectural objects such as plants, people, and skies in outer environment, and the dwellers and the pets inside the architecture. I wondered if a piece of architecture is like an open frame which dominant non-architectural elements are unexpectedly and whimsically framed in to give fresh surprises to the residents’ lives. This hypothesis led me to write a book titled “Architecture as Frame”. The idea still hasn’t changed basically, but there is another side of me that recognizes that the architecture has some influential power.

When reviewing each of the 3 houses I designed recently, I noticed that I had put a space that brings about a strong sensuous impact, just like the madder red gallery, in the hub area where the residents pass by when moving between the rooms. Putting it in an abstract way, I tried to give versatility to the architecture by creating discontinuity to the space. What descriptor should be given to this discontinuity? The house as a whole is like a frame, open to environments inside and outside, and maintaining various relationships with them. The space that creates the discontinuity, which sits in between the rooms, is isolated and independent from the other rooms, and acting as the center of gravity and the spiritual core of the house; if an entire house is a frame, it is re-framing the frame. Therefore, the space is a reframed space.

Let me provide brief descriptions of the 3 recent cases of the reframed space.

The first one is the “High Low House” completed in 2009. The house consists of 3 connected spaces of different types. The narrow corridor where lights pour down from the roof light (right side of the photo), the dark and low ceiling space (center of the photo), and the bright room with a high ceiling (left side of the photo). In this case, each space has distinctive character that creates discontinuity as a whole, and the space in the middle is the reframed space.

The second case is the ‘Three Corridors House’ completed in 2010. It has, as the name indicates, 3 corridors that span from the east side to the west side of the house, connecting 3 bedrooms, a tatami room, a study, a living room, a dining room, and the wet areas. Among the three, the central one has a high ceiling and creates a strong impression, hence the reframed space in this house.

The last one is the “House House” completed in 2013. 4 individual rooms are laid out closely around a white void, and the residents inevitably walk through here when moving between the rooms. The white void is distinct from the black-colored hall underneath and the grey bedrooms adjacent to it, reframing the house. Similar to the 3 spaces described here, the madder red gallery featured in this book, located in the center of the house, is also a reframed space. The common characteristic of the 4 reframed spaces is, contrary to the concept of the house of “Architecture as Frame” which indicates openness, it is the space for reflection.

For the time being, I will try to balance the power of architecture itself and that of non-architectural things in my designing.

April 12, 2016

渡辺力デザイン

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最新号のカーサ・ブルータスに日本のホテルベスト50というのが出ていた。そこに京王プラザホテルの二つのバーが載っている。その一つは僕もよく行っていたメインバーのブリアンである。ホテルはまあ普通のビジネスホテルだと思うが、このバーはいい。バーにしては大柄な空間だけれど、椅子の背が高く皮ばりではしごして最後にたどり着くのだがいつも落ち着く。この店が渡辺力のデザインとは知らなかった。僕の時計も渡辺デザインでとても気に入っている。彼は1912年生まれで2013年に亡くなった享年101歳である。

April 11, 2016

論文とは何か

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今期最初のゼミと講義。例年通り、週二回のゼミは論文ゼミと、輪読ゼミ。毎年論文ゼミは僕の講義になってしまうので、それを避けるために、僕は喋らないことにした。最初に1時間論文とは何か。について講義した。

April 10, 2016

心よりダンケシェーン

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ワークショップ3日目。最後の日である。朝東京駅oazoの前に集合してグループごとに担当の場所に散った。四谷、秋葉原、上野、渋谷、原宿、新宿、代官山、日暮里。2時に飯田橋に戻り3時まで神楽坂を散策して4時までプレゼンの準備。そして6時半まで各チームのプレゼン。1時間で10時間分くらい見た事そしてそこに何かを挿入するところまで考えられたら素晴らしい。そこまでできたチームはなかったが。
3日のWSを終えて思う事は三つ。
とにかく16名もの学生が日本に、理科大に来てくれた事に感謝。そしてとても勇気付けられた。これをステップにさらに多くの日本に興味を持つ学生を先生を建築家を招きたい。
二つ目は、彼らの発見が示すように東京の面白さは地形の持つ高さの差と建物持つスケールの差によって生まれている。この差をどうやって建築のなかに生かすかは建築家である私の問題となる。しかし何れにしても裸の目がこの差異をみつけてくれたことにやはり勇気付けられた。
三つ目はこんな東京の発見を是非ウィーンに持ち帰って生かしてそして6月の最後の作品に結実してほしい。それを見るのを楽しみにしている。

彼らは僕にありがとうのメッセージをそれぞれカタカナで自分の名前を書いて私にくれたがお礼をいうのはこちらの方である。心よりダンケシェーン。

東京の虚を見てからリサーチへ

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昨晩アントンが配偶者にウィーンの印象を聞いたのに対し、美術館の充実をあげると、さも当然という顔をしてオーストリア=ヨーロッパ全土であったと述べていた。それは大げさとしても、ハプスブルグ家がほぼフランスの東側から東はポーランドの一部、北はそいつから南はハンガリーまでを支配していたわけである。そこにあったものが全てウィーンにあるのだと言わんばかりだった。しかしそれにも増して、世紀末のオーストリア独自の美術のそして美術学の充実が魅力的なのである。
今朝は東京駅に集合し、ロラン・バルトが『表徴の帝国』で言う東京の中心の虚を見てからグループに分かれ再度リサーチエリアに散らばった。Good luck.

April 9, 2016

ワークショップ2日目

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本日のワークショッププログラムはシークレットスペースの見学から一転して、オブジェクティブに建築を見てもらう。SANAA、FOA,日建設計。僕は大学の卒計展を見るのでそっちは学生とウィーンの先生に任せて夕方OFDAで彼らを待つ。ワインとポールのパンを用意して待ち受ける。准教授のアントンに今日はどうだったと聞くと、まあこの手の巨大建築はどこの都市行って同じだねと興味を示さない。フィリアに大桟橋は2位は篠原一男だったのだよというと知っていてそっちの方が全然よかったと言う。理由を聞くとFOA案はまったく美しくないと言う。外国の人には概してこの建築は受けない。いままでいいと言ったのはモネオくらいである。
一方アントンは神楽坂や荒木町のスモールスケールをもっと見たいと言う。これも外国の方特有の反応なのだが、こういうのをオリエンタリズムと言うのだろうかと思ったりもする。明日のスケジュールと注意点を伝え、OFDAを出て荒木町を一周してから食事へ行く。日本とオーストリアの学生はあっという間に仲良しになっている。若さの力はすごい。

納税の精神

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三木義一『日本の納税者』岩波新書、2015を読むとなぜ日本の納税者が税金から疎外されるかわかる。サラリーマンの場合、源泉徴収され年末調整まで雇用者が行い、一方自営業者においては弁護士も理解してない税法に基づく解釈が押し付けられるという両極端な制度によるようだ。本来主権者の自己申告と言う精神が感じられないものとなっている。

April 8, 2016

東京の不連続面を探しに

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ウィーン工科大学の学生16人と先生3人を迎え入れて小さなリサーチプロジェクトのスタートである。こちらの学生は11人。日本の学生1人とオーストリアの学生2人でチームを作り東京の不連続面を探しにスタート。行った場所は四谷、上野、渋谷、原宿、秋葉原、日暮里、代官山、新宿である。昼に飯田橋をスタートし、6時に戻り約2時間その観察を発表。予想以上に東京は複雑で、そして大きい場所に映るようである。

April 7, 2016

Concrete as media

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This is my third translation book just published and mailed me today of Adrian Forty Concrete and Culture published originally in 2012 in UK. We decided not to translate the title literally, but to put Japanese title 'media to shiteno konkurito' meaning Concrete as Media.
I hope many people will read this book. This is really interesting and entertaining book for sure.

April 6, 2016

クライアントが舞台で輝いていた

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アルミホイールで天井をリノベした五反田の稽古場を使う劇団の公演に招待していただいた。これが二回目である。最初は去年招待され場所は草月ホールだった。今回は紀伊国屋ホールである。設計者が丹下健三に前川国男。こんな招待がなければおそらく来ることもなかったわけで縁というものは不思議なものである。あんな細長いビルの4階の奥に一体どうしてホールが入っているのだろうと前から謎だったが入ってみてやっと分かった。4階にホールがあるわけではなく、上の階にあったのでした。
公演は「小さな結婚式」というタイトルのウエディング企画会社を舞台にしたコメディ。我々のお付き合いしている皆様が舞台では素敵な役者となって輝いていた。

エンリックの博士論文

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昨日エンリックの博士論文を読み始めている途中で最終盤の論文第一部と第二部がメールされてきた。彼の論文は、白の家、地の家、軽井沢谷川山荘、代々木上原の家、ハウスインヨコハマの五つに対象を絞りこれらの分析を通して篠原を浮き彫りにしようとしている。なぜこの5つかというのがおそらくこの論文の是非を問う大きなポイントの一つになるだろうが、それはさておき、論文第二部は資料編でこれら5つの建物すべての実施図面が整理されている。これは資料としては超一級でありさらにその整理が完璧である。図面リストの日本語、英語版があり、そこにあるものが篠原の描いた図面のすべてであることが明らかとなっている。彼は篠原アトリエで働いているときに図面の複写を願いでて許可を得ていたそうである。

April 5, 2016

宮島詠士の書

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ウィキペディアによると「明治から大正は書家と学者と文人の区別がつきにくい時代で、この時代の第一流の書家といわれた人は学者でもあり詩人でもあった」そうだが、この書の作者である宮島詠士は「純粋な学者でも詩人でもなく、教育家として独特な地位を有する人で、文人書家の特例的な存在であった」と言われている。
という人の書がなぜ我が家の今にぶら下がっているかというと、この人の書に学んだ上條信山に配偶者は書を習っていた経緯があり配偶者の父親がこの書をどこかで頂いたか購入したかしたらしい。
この軸はしかし実に面白い。字がとても不揃いである。大きさも太さも何もかも統一性がない。練習でいい加減に書いているかのようである。僕は書の専門家ではないので適当な事を言っているが率直な感想である。というようなことを配偶者に言ったら「そこがいいでしょう?」と言われまあそんなものかと納得した。

April 4, 2016

お気に入りノート

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訳あって2010年からのスケッチをかき集めるために2010年頃からのノートを漁った。ちょうどその頃から丸善の布張りノートからこのオレンジ色のノートに変えた。QUODIVASという会社のもので、丸善で売っていたのでその後も取り寄せて使っている。紙質と紙の厚さが好みなのと表紙が頑丈で長持ちするのが長く使っている理由である。このノートに自分でカレンダーを作り、残りのページを大学、オフィス、ワークショップ、レクチャー、メモ、などと分類し、筆記用具も全部このノートに差し込んでいる。文具はこれと小さなスケッチブックの二つだけ持つようにし今のところ大変重宝している。廃番にならないといいなあと思っている。

伊藤くんの新作

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昨日、昨年のSDレビューで鹿島賞を受賞した伊藤博之さんの辰巳アパートメントハウスを見に行った。佐藤さんの構造で、驚異的な縦横比であることも見事だが、シンプルで明快な構成が目をひいた。EVホールをテラス化した平面。梁せいを使った断面。素材の使い方も無理がない。
こういう建築に対してある立場の方はなに無理して効率悪いことしているんだと言うかもしれない。幾つかのロットをまとめてビッグビルを作る方がマシだと言うかもしれない。しかしそれは違う。こういう小ロットに歴史があって、そのロットだからできる形態に場所性が現れるのである。何でもかんでもまとめたロットにしで日本中どこでもおなじボリュームを作り表面だけエコロジカルという免罪符を貼り付ける建築こそ考え直すべきはずである。

April 3, 2016

カラヴァッジョとボッティチェリ

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ボッティチェリとカラヴァジオ連チャンするとよく分かる、バロックになると表情が生まれ、人が人らしくなる。

April 2, 2016

建築写真

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勝浦の家のべたが送られてきた。竣工したての写真を見るといつも、思ったよりいけていると思う場所と、もっといい場所のはずだったのにこの程度かと思うところが出てくる。最近できた三つの建物のどれでもそういうことが起こる。今回の勝浦では思ったより寝室が良く撮れている一方で広間がそうでもない。、もちろんそれは2次元的な写真としてそうなってしまうのであり、体感は写真の良し悪しに合致するものではない。しかし僕らは他の人の建築を写真で見るとき体感を想像して見ることはとても難しい。写真抜きで図面だけで見るとかろうじてそういう想像ができるが写真が入ると写真にやられてしまうのである。困ったものである。

次の翻訳本を考える

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次の翻訳本を考えている。今度もコンクリートと同じメンバーでやりたい。これはなかなか息のあったチームである。みなの意見を聞きながら最も面白そうな本を選びたいが、さしあたり僕には二つの本が思いついた。
一つはソーシャルデザインのバイブルのようは本である。これは2008年にMOMAで行われた展覧会Small scale big change (小さなもので大きな変化)のカタログである。ここにはソーシャルデザインの歴史と考察、事例と解説が載っている。簡単な本だがヴェネチアでもソーシャルがテーマなのだから時代的な資料と言える。まあ建築家がどんどん小粒になっていく時代にそれを拍車をかけるようなことをしたくないが、簡単な本だから1年で訳してしまうような勢いでこれに手をつけてもいい気がする。
もう一つはあのデコンの展覧会1987(これもMOMA)の実質的なチーフキュレーター(名目上はフィリップ・ジョンソン)だったマーク・ウィグリーの2015年の新刊で「バックミンスターフラー 電波時代の建築」である。電波が建築を変えるという話は僕は彼から直接この2月に南京で聞いていた。これにバックミンスターフラーがどう絡むのかはとても興味深い。
前者は建築を萎縮させるような話であり、でもリアリズム。後者は建築をより拡張するような話だが、ヴィジョナリー。さてどちらが有効か。そして今必要か?前者をサクッと訳して後者をゆっくりやるというのはどうか?

理科大宇宙教育

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今朝の朝日新聞に理科大の宇宙教育の話が掲載されている。向井千秋さんを副学長に招き、彼女は国際化を1年担当し今年から宇宙教育へと理科大の視野の拡大の屋台骨を背負っている。
何事にも手厳しい配偶者は宇宙教育をする前に若い子に教えねばならぬことはもっとたくさんあるでしょうという顔をしているが、それはもっともとはいえ宇宙教育に僕は意味を感じている。それは日本を出てglobe(地球)を見て歩くことで日本が見え日本という「ネーション」にこだわることの意味と無意味が分かるという理屈の延長上にある。本来globalizationとは国際化ではなく地球化であり、我々はみな地球人であることに考えを寄せればグローバリゼーションも有意義なものになりうることである。
それを敷衍して考えれば宇宙に出て行って地球を見れば「グローブ」にこだわることの意味と無意味が見えてくると思える。南北が東西が意地をはりあってきた歴史の悲しさに気づくはずである。その意味で同じ理科大人として宇宙教育の哲学に大いに期待したい。

April 1, 2016

zahaの図書館

CIMG3442.JPG4月から知り合いの建築家が新たな教職の場についたと聞きます。若松さんが前橋工科大、加茂さんが名工大、柳澤さんが関東学院大、藤村さんが芸大、皆さんがんばってください。私は理科大で継続的に教え、東工大の非常勤を終わりにしてウィーン工科大学でも客員で少し教えます。そのウィーンで3月見た建物の中でとてもいい出来だと思ったのは昨日他界したザハの設計によるウィーン経済大学の図書館でした。谷さんが図書カードを作ってくれたのでその隅々まで見ることができました。形態が無理なく読書空間となりそして広がりとゆとりが生まれています。ウィーンに行く前に松田達くんがFBで良いと評価してくれたので行ってみることにしたのですが、その通りでした。ザハの建物はあまり見たことがなかったのですがこれは素晴らしい出来だと思いました。

せいぜい100

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午前中銀行に行ったり郵便をだしたり雑用をしてその後事務所でパワポデーターを作成。コンピューターとにらめっこしていたら一日が過ぎてしまった。疲れたのでつげ義春の『新版貧困旅行記』新潮文庫1995を読んで旅をした気になってリラックス。つげは漫画も面白いけれどはるかに文章の方が面白い気がする。これは僕に漫画を読み取る力がないからかもしれないが、漫画にも見られる想像力をかきたてる間が文章ではさらに際立つ。
この本には彼の旅した場所が日本地図の上にマッピングされているがおそらく(全部きちんと数えてはいないが)500はあるだろう。僕は果たして日本のいくつの場所を訪れたことがあるだろか???
47都道府県のうち未踏の地が4、素通りが5、行ったことがあると言えるのは38各都道府県3箇所訪れたとしても100ちょっとというあたりがせいぜいである。

仙川でダンスを見る

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せんがわ劇場(安藤忠雄設計)というところに北村明子の最新ダンスを見に行った。ニュヨークジャパンソサエティのディレクターである塩谷陽子に誘われた。行ってみると今回、彼女は踊らず、構成、演出、振り付けだけであった。しかし舞台のクオリティは高い。例によって映像と朗読とのミックスだった。相変わらずダンスが上手だと感心した。彼女の踊りも見たかったのだが、この時期大学の先生が忙しいのはよく知っているので、公演をうつだけでも尊敬ものである。
公演が終わって塩谷と夕食をとりながら感想を聞くとベタ褒めに近かった。ダンサーの腕の良さに感心していた。150人を超える人を相手に踊れる人はもうこの年齢以上しか残っていない。若いのは50人くらい相手にマスターべーション的な踊りしかできないと言っていた。それは建築も同じでどんどん小粒になっていく。話がビエンナーレのシェアの話になるとシェアにどれほどの価値があるのやら???特にシェアハウスは抜け出るものであり、好んで住むものではないと笑っていた。仙川の駅前の桜は満開で二人で記念写真の撮り合い。
彼女明日は北京に4日遊びに行くとのこと年にどのくらい外国出張をしているのか知らないが移動は全てフルフラットだそうで本当に羨ましい。