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2009年03月21日

勅使河原三郎

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勅使河原三郎の最新作品「ダブル・サイレンス」をシアターコクーンで見た。とある友人の芸術監督が勅使河原の作品はある完成の域に達していて、もう発展のしようがない。と言うようなことを言っていた。彼女はダンスのプロなのでそう見えるのかもしれないが、素人の僕にはまだまだ発展して見える。前回観たのは新国立劇場だったと思うがKAZAHANAという作品。音と舞台道具と光がとても印象的だった。今回は舞台道具のようなものはない。何もない。あるのは煙だけだった。しかしその煙の出し方がまるでディズニーの噴水のように煙を造形化している。これはかなりの調整と反復によってなせる技であり根気のいる舞台づくりだと思う。加えて音作りが驚く。先ずは低周波の連続音が延々と会場に響く。この連続音は鼓膜を耳の奥に押し込んでいくようなかなりの音圧を持ったもの。内臓が動きだしそうな強烈な力を持っている。そんな音の中でさてダンスはと言うと、マシューバーニーの拘束のドローイングの如く、ダンスたる動きは現れない。金縛りにあったかのごとく。ただ振動しているだけなのである。ポスター写真の意味がやっと理解できる。見えない縄で体が縛られ、その中でこの低周波の音の刺激を受け微動しているのである。しかしその拘束は徐々にほどけていく。このあたりの展開はシンフォニーの如く。楽章ごとのテンポの変化と運動のクライマックスが観る者の心を惹きつける。佐東利穂子とのデュオは目が釘付けになる。途中やや間延びしているように感じる部分もなくはないが、全体の構成と音、光、煙による空間づくりは秀逸であった。